大切な人を失くした人たち
オリビア
ドラクエ3に出てくる女の人(の幽霊)。恋人のエリックが無実の罪で捕まってしまう。さらに、囚人たちを乗せた船が沈んでしまい、エリックは帰らぬ人になってしまったらしい。オリビアは、恋人を失った悲しみにより、岬から身を投げて死んでしまう。死後の彼女は幽霊となって、オリビア岬の近くを通る船を沈めてしまうのだそうな。
自分の恋人が立て続けに不運な目になって死んでしまったわけだから、彼女の悲しみは相当なものだっただろう。病気や事故で死んだならともかく、不運としか言いようのない死に方だったのだから、幽霊になってしまうのも、しょうがないと言えばしょうがないのだけど。
オリビア…。もう ふねが しずんでしまう…。 キミには もう えいえんに あえなくなるんだよ…
せめて キミだけは しあわせに いきておくれ…。
残念ながら、オリビアは幸せに生きることはできませんでした。世を呪い、いくつもの船を沈め、自分と同じような人間をたくさん作ってしまいました。勇者たちが、幽霊船で見つけた二人の愛の思い出を使ったら、いきなりエリックが出てきて、オリビアは成仏したように見えるのだけど、オリビアは愛の思い出を忘れていたってわけではなく、むしろ忘れられないから、幸せそうな人間たちを見ると、悲しくて悔しくて憎くてどうしようもなくなるわけで、そんなところに思い出のネックレスなんか見せたら、さらに悲しくなって、手がつけられなくなるんじゃないか。
と思ったけど、あのオリビア岬の件は、ネックレスは実はどうでもよくて、「二度と会えないと思っていたエリックが、目の前に現れて語りかけてくれた」から、オリビアは成仏したんだなーって思いました。なんにせよ悲しい話です。
ピサロとDQ4勇者
ピサロの件はオリビアよりもひどいです。運が悪かったとかいう話ではなく、欲の深い人間の明確な悪意によって、痛めつけられて殺されました。こんなひどい話はないです。あまりのひどさに、魔族のプリンスも怒りにまかせて暴走し始めます。元々人間を皆殺しにすることは、ロザリーの殺害に関係なく、ピサロの計画としてあったわけですが、それまで計画的にすすめてきたのに、この件でピサロは冷静さをなくしてしまいます。
わたしの さいごの わがままを きいてください
どうか どうか…… やぼうをすてて この わたしと……
ぐふっ!
ロザリーの最後の願いもむなしく、ピサロは怒りにまかせて「とにかく何が何でも人間を皆殺しにしてやる」という感じになってしまいます。
DQ4勇者の件は、ピサロに比べるとまだ救いがあるような気がします。シンシアは死んでしまったけど、彼女の最後は立派なものでした。ザ・グレイトフル・デッド(偉大なる死)と言いましょうか、オリビアやピサロのように、残された者が、怒りに我を忘れるような性質のものではないと思います。
だいじょうぶ あなたを ころさせは しないわ
さようなら
当時は驚きと悲しみと絶望しかなかったですが、今になって読み返すと、なんとも優しくて力強い言葉です。
パヴァン
ドラクエ8に出てきます。アスカンタという国の王様なのですが、王妃が病気か何かで亡くなってしまいました。王様は、悲しみのあまり、玉座に座って頭を抱えるばかりで立ち上がれません。こんな状態が2年も続いていました。
イシュマウリという人が、不思議な力を使って、一晩だけ王妃の姿を見せてくれます。生き返らせるというわけではなく、パヴァンの記憶をほじくり返して、パヴァンの記憶にある王妃の生前の姿を見せてくれる。といった感じだったと思います。
ほら あなたの国が すっかり 見渡せるわ。パヴァン。アスカンタは美しい国ね。
わたしの王さま。みんなが笑って暮らせるように あなたが…
これだけだとなんのこっちゃわからないのですが、王妃の母親が死んだときの話をしていました。母親がいなくなったことで、自分が弱虫に戻ったら、母親は最初からいなかったのと同じことになってしまう。という話。
故人が生きた意味というか、その生涯の価値というのは、残された者によって決まるのだと思いました。彼ら彼女らの死を、意味のないものにしないために、生きている者はがんばらねばならないのだなーと。