遊び人が賢者になれる理由

ドラゴンクエスト3に「遊び人」という職業がある。戦闘中、人の言うことを聞かず、好き勝手に遊びまくってる職業。レベルが低いうちは、まともに戦ってくれるのだけど、レベルが上がってくるにつれ、だんだん遊びに目覚めてくる。「たたかう」を指示しているのに、「ふしぎなおどりをおどった!」だとか「へんなかおをしている!」だとか、とにかく、ふざけてばっかりで、戦力にならない。

この遊び人だけど、なぜか賢者に転職することができる。遊び人以外でも賢者に転職することはできるけど、それには「悟りの書」っていうアイテムがないとダメなんだな。遊び人は、そんなものに頼らなくても、レベルが20になると、いつでも賢者に転職することができる。

ドラクエ3を遊んでいた当時は「なんでこんな不公平がまかりとおっているのだ!けしからん!!」と思っていた。だって魔法使いや僧侶はマジメに一所懸命やっているのに、どんなにがんばっても、賢者にはなれないわけだ。それなのに、あんな役立たずのピエロとバニーガールは、何の苦労もせずに賢者になれるなんて、世の中間違っている。って、1人で憤っていた。

時は流れてドラクエ4が発売。スタンシアラ王と、お笑い芸人パノンとのやりとりを見て、衝撃を受けた。頭をハンマーでガーンと殴られたような感じ。10ギガデイン。王様が天空の兜を持っているけど、そう簡単には譲ってくれない。何か面白いことを言って、王様を笑わせることができれば、ご褒美として兜をくれる。っていう話で、導かれし8人のシロウトは一生懸命王様を笑わせようとして、思いつく限りのダジャレを言ってみるのだけど、王様はニコリともしない。そこで、お笑い芸人のパノンという人に頼んで、王様を笑わせようとするんだけど、そのときのパノンのセリフが

「おことばですが おうさま。 わたしには おうさまを わらわせることなど できません。」
「ですが わたしを つれてきた このものたちなら きっと わらわせることが できるはず! どうか このものたちに てんくうのかぶとを おあたえください! このものたちは せかいをすくい ひとびとが こころから わらえるひを とりもどして くれるでしょう。」

この言葉に王様は大笑い。とてもユカイな気持ちで、勇者たちに兜をくれましたとさ。

「ぐはああああああ!」って思いました。パノンすげぇ。お笑い芸人すげぇ。なんでこの人導かれなかったんだろう。勇者たちは世界を救わなくちゃいけなくて、そのためには、王様を笑わせないといけない。そのために一生懸命やってるんだけど、残念なことに、そこの一点しか見えてなくて、視野が狭くなっていたのだな。人を楽しませる。人を喜ばせるとはこういうことか。

で、ドラクエ3遊び人の話に戻るんだけど、考えてみたら遊び人も「バラモスを倒す旅」に付いて来ているわけだから、おそらくいい加減な気持ちではないと思うんだ。旅の最初は戦闘にも協力してくれるし。だけど、遊び人としてのレベルが上がってくると、他の職業と比べて、戦力に明確な開きが出てくるわけだ。戦士は強い攻撃で敵を倒すし、僧侶は回復呪文や補助呪文でみんなを守ってくれる。遊び人はモンスターとの戦闘ではみんなの役に立てない。ならば、この過酷な旅が、みんなにとって少しでも楽しいものになるように、そのために全力を尽くそうと考えたんじゃないかなー。

敵を倒す方向ではなく、仲間を楽しませる方向に向かって精進していたら、いつの間にか悟りを開いてしまった。みたいな感じじゃないかーと。そんな妄想をしていました。

ところで女賢者はスカートが短くてよいですね。悟りを開いた後もサービス精神旺盛で素晴らしいです。